

第9回
2010年8月17日
立秋を過ぎると、周囲の空気が何やら変わっていくのが感じられます。体は不思議なもので、涼しくなると食欲が湧いてくるのは暖房も不充分であった頃の名残か、何か動物的なものを感じます。寒さに備えて生きとし生ける存在は脂肪を蓄えて自らを守る証、自然の摂理ではないかと思っています。魚も脂が乗り、野菜、果物も充実して美味しくなりますね。海の幸・野の幸を存分に取り入れ、楽しみましょう!少しきつくなったウエストも自然の現象と捉えてもよいのでは…!
里芋の田楽風
里芋は皮をむくと手がかゆくなり、里芋の料理から遠のいてしまいがちですね。でも皮ごと蒸してしまえば解決!コクのあるくるみ味噌でいただきましょう。この味噌は作り置きがきくので数倍量作って置き、焼きなすやきゅうりのディップに、水や牛乳でのばしてゆでた肉や焼き魚の上にと便利です。肉や魚の上には、更にとろけるスライスチーズをかぶせてご馳走に。
- 材料(作りやすい分量)
- 里芋(中)…2~3個
- くるみ味噌(下記参照)…適量
- くるみ(小片、飾り用)…適量
- くるみ味噌
- 味噌…50g
- A:砂糖・酒・みりん・すりごま…各大さじ2
- A:くるみ(みじん切り)…20g
- 里芋はよく洗い、皮つきのまま2.5cmの輪切りにして蒸す。
- くるみ味噌はAを小鍋で好みに練り上げ、くるみを混ぜる。
- 里芋の切り口上面にくるみ味噌を適量のせ、くるみの小片を飾る。
★くるみ味噌は、きゅうりや焼きなすのディップにもよい。
★里芋の切り落とした天地は、みそ汁などに利用するとよい。
さんまの有馬煮
さんまを骨まで美味しくいただける方法です。鮮度がよければ頭も内蔵も尾も丸ごといただけます。青魚の栄養価は、血液サラサラ効果やその他の様々な生理作用を持つEPA、DHAが豊かで言うことなしです。
昆布はだし殻を利用するとよいでしょう。だしを取った後の昆布を重ねて冷凍しておき、こんな時に使います。昆布も軟らかくなっており、付け合わせにもなりますね。同様に、実山椒も季節に収穫しサッとゆでたものを一年中冷凍しておくと、ちりめん山椒を作ったり、青魚の料理に使ったりと便利です。
有馬煮とは、山椒の名産地、有馬から言うそうです。
- 材料(作りやすい分量[圧力鍋で])
- さんま…3~4尾
- 昆布…適量
- A:水…カップ1/2
- A:酒…カップ1/2
- A:実山椒…大さじ1
- A:しょうゆ…大さじ1~
- A:(砂糖…大さじ1)
- A:梅干し…2個
- A:酢…大さじ1
- A:しょうがの薄切り…2かけ分
- さんまは4cmのぶつ切りにしてサッと洗う。(鮮度の良い場合、頭やワタを取らないでOK)
- 圧力鍋に3~4cm角に切った昆布を敷き、1.のさんまをひと並べしてAの調味料を加えて20~30分圧をかけ、そのまま置く。
- 冷めてからさんまと昆布を盛り合わせる。
★圧力鍋がない場合は、煮汁を増やして1.5時間ほど炊くとほぼ骨も軟らかくなる。
★昆布はだし殻を利用するとよい。軟らかくなっており、美味しい。
山路おこわ
秋の山路を見立てた蒸しおこわです。ちょっと複雑にも思えますが、炊きおこわとは違った食感の美味しさは格別です。大皿盛りにしてトッピングを工夫すると、秋の風情が一層感じられて、ご馳走になることうけ合い。なにより、材料は日常のものですし、費用もかからないのに見栄えして、ちょっと得意顔になれますよ。
- もち米…カップ2
- A:鶏肉…100g
- A:ごぼう…80g
- A:にんじん…80g
- A:干ししいたけ…3枚
- A:しめじ…100g
- A:酒…カップ1/4
- A:しょうゆ…大さじ2~3
- A:味醂…大さじ1~2
- A:砂糖…大さじ1
- A:水(干ししいたけの戻し汁+水)…カップ1.5
- 剥き栗(1袋)…100g
- ゆでぎんなん…20粒
- 三つ葉の軸(3㎝に刻む)…適量
(あれば、紅葉にんじん、黄菊の花びら適量)
- もち米は洗ってざるにあげる。Aの干ししいたけは戻しておき、戻し汁は煮汁に利用する。
- Aで具を用意する。鶏肉と戻した干ししいたけは7mm角、ごぼうとにんじんは5mm角、しめじは適宜に切る。硬い野菜から順にAの調味料で煮て味を調える。
- 2.をざるにあげ、煮汁(約カップ1になる)に1.のもち米を浸して1時間置く。
- 3.を再びざるにあげてもち米と煮汁を分け、もち米を強火で10分蒸したのち煮汁に戻し、混ぜながら煮汁を全部吸収させる。
- 再び蒸し器にかけ強火で20分蒸す。
- もち米の上に2.の具と栗、ぎんなんを乗せ、数分蒸して温める。
- ボウルにあけて、もち米と具を均一に混ぜる。
- 器に盛り、紅葉にんじん、三つ葉、黄菊を散らす。
★紅葉にんじん:薄切りにんじんを紅葉型で抜き、軽く塩ゆでする。
かぼちゃの赤だし
かぼちゃは蒸したものを利用して簡単に。青みと吸い口に季節のものを工夫すれば、一年中お役立ちです。かぼちゃのほっこりした甘味と赤だしの個性的なコク味が不思議とマッチング。かぼちゃ嫌いの方にもおススメです。
- 材料(4~5人分)
- だし汁…600ml
- 八丁味噌…大さじ2
- 蒸しかぼちゃ(1切れ30g前後)…4~5個
- オクラ (サッとゆでて軽く振り塩)…4~5個
- 柚子皮(せん切り)…適量
- 昆布とかつお節でだし汁をとる。
- 八丁味噌を溶き入れ味を調える。
- お椀に温めた蒸しかぼちゃを入れ、オクラを添えて汁をはり、吸い口にせん切りにした柚子を置く。
大根とそばのサラダ風
干しそばがひと束残っていた時や、ちょっと食べ過ぎた日の翌日にエネルギーを押えたいなどという時に、ピッタリです。そばのルチンには、血管を強くしたり血圧を安定させる作用があると言われます。
たれは、そばつゆの他、白味噌をベースにした味噌だれもよいですね。柚子酢、米酢、出し汁など適量混ぜあわせて。大皿やお盆、ざるなどに小分けけして盛り付けると、取り分けやすくて親切です。
- 材料(作りやすい分量)
- 大根…150g
- 干しそば(1わ)…80g
- 三つ葉(又はかいわれ菜)…30g
- わかめ(もどして)…50g
- ツナフレークオイル缶(80g)…1個
- 針柚子…適量
- 針海苔…適量
- たれ…そばつゆ:市販のもの適量+柚子酢
- 根はシュレッダーで細いせん切りにして軽く水にさらし、水気を切る。
- 干しそばは好みにゆでる。
- 三つ葉は2cmに切り、わかめも適宜に切る。
- 1.~3.を軽く混ぜ合わせたものを8~10に分け、器にこんもりと盛り付ける。ツナ、針海苔、針柚子をトッピングにして、たれを添える。
★味噌だれもよい。白味噌をベースにして、柚子酢、米酢、出し汁など適量混ぜあわせて。
黒米団子 いがぐり仕立て
お菓子に限らず黒い料理は一瞬ドキッとしますが、さつま芋の黄色とマッチして粋でもあり、サプライズの要素もあって会話が弾むのではないでしょうか。
黒米には抗酸化作用のあるアントシアニン(ポリフェノールの一種)が含まれています。アントシアニンたっぷりのデザートは嬉しい一品でしょう。さつま芋あんは難しく考えず、蒸してマッシュし好みの甘さにして。食べ残しの甘納豆をあんに加えてみても可愛らしいですね。
- 材料(作りやすい分量(10個分))
- 皮
- 黒米…カップ1/2
- 水(黒米の炊飯用)…カップ1
- 塩…ひとつまみ
- 砂糖…大さじ1
- 粉ゼラチン…5g
- 水(ゼラチン用)…大さじ2
- 芋あん
- さつま芋…100g
- 砂糖…大さじ2
(あれば甘納豆…適量 )
- 粉ゼラチンは水でしとらせておく。
- 黒米は水加減を多くして20分ほど炊き、10分ほど蒸らす。(水分が残っていたら蓋をとってとばす。)温かいうちに、塩、砂糖、1.のゼラチンを加えて混ぜ、冷まして10個に分ける。
- さつま芋を適宜に切り、蒸して皮を取り、つぶす。砂糖、塩をひとつまみ加えてよく混ぜ、等分に分けて丸める。
- 2.の皮をいがに、3.のあんを栗に見立ててくるみ、仕上げる。ラップを使うとよい。(甘納豆を芋あんに入れてもよい)
★粉ゼラチンは炊いた黒米に振り入れてもよいが、上記の方法にすると混ざりが早い。
鶏レバーの佃煮風
貧血の方には鉄分の多いレバーが効果的と言われますが、苦手な方は結構多いですね。そんな方にも食べていただける一品です。一般的なレバーの臭み取りには牛乳に浸けるなどがありますが、このレシピはゆでるだけ。調味料に工夫があり、臭みをマスクして美味しくしてしまいます。最後に粉山椒を振ることによってさらに食べやすくなります。2, 3個を爪楊枝にさしてお弁当にも。ゆでたウズラの卵、焼きねぎと交互に串刺しにして焼き鶏風にしても面白いですね。他にも、細かく刻んで挽肉料理やチャーハンになどと応用できます。
- 材料(作りやすい分量)
- 鶏レバー…250~300g
- A:酒…カップ1/4
- A:しょう油…大さじ1
- A:ウスターソース…大さじ1
- A:酢…小さじ2~3
- A:練辛子…小さじ1/2
- A:根しょうが(薄切り)…1かけ
- ごま油…小さじ1/2~1
- 粉山椒…適量
- 鶏レバーは血管や脂肪を取り除いて大き目、一口大のそぎ切りにし、熱湯でゆでて冷水にさらし、ザルに上げる。
- 鍋にAと1.を入れて煮る。
- 汁気がなくなったらごま油をからめてツヤを出し、粉山椒をふる。
★鶏レバーの臭みを取り、美味しくする調理法である。
★2~3個を爪楊枝に刺すといただきやすい。
★ゆでたウズラの卵や焼きねぎと交互に串刺しにして焼き鶏風にしても面白い。
清水 祥子(しみず しょうこ)
1943年高崎市生まれ。桐生市の郊外に在住。管理栄養士。日本家政学会食文化研究会部会、および、NPO法人 群馬の食文化研究会 所属。
長年、短大や専門学校で指導。退職後は、夫の作る季節野菜を中心に「肉や卵に頼らない食事」をコンセプトとし、手順・調味料のシンプルなレシピを開発している。数字だけではない「食事観」の必要性を感じ、今に生きる日本人の食べ方・生き方を模索している。
趣味はウォーキングと登山。
座右の銘はブリア・サバランの格言『どんなものを食ベているか言ってみたまえ。君がどんな人であるかを言い当ててみせよう』